2018年から委員をさせて頂いています。東京理科大の荒添です。
新型コロナウイルスの感染がパンデミックとなり,各方面にも様々な影響が出て大変な時期かと思います。楽しみにしていた3月の糸状菌若手の親睦会も中止になり非常に残念です。トイレットペーパーがスーパーから消えた時には震えました。
面白いことも書けませんし,自己紹介も苦手なので,何とか回避できないかと必死に画策していましたが,ついにこの時がきてしまいました (この企画自体に異議はありません)。期待されてはいないだろうと思いつつも中々手がつかず,更新が遅くなり申し訳ありません。
私は2017年から東京理科大学 理工学部 応用生物科学科の鎌倉研究室 (応用微生物学研究室) で助教をしています。
東京理科大学は、明治14年 (1881年) に「理学の普及を以て国運発展の基礎とする」という志のもとに、東京大学の物理学科を卒業した青年理学士ら21人により東京物理学講習所として創立されました。私はこの建学の精神がとても好きです。
理工学部は野田キャンパス (東京ではなく千葉県野田市,最寄り駅は運河) にあり,東京とつくばの中間に位置するリサーチパーク型キャンパスと称されています。近くにはキッコーマンさんもあり,この立地を有効に生かすことができないないかなと考えています。写真は最近改築が進んでいる野田キャンパスの一部です。私達のラボは右側に小さく写っている6号館の端っこにあります。
応用生物科学科は理,工,農,医,薬などの諸領域を統合した学科で,微生物から動植物を研究対象とした様々な研究室が存在しています (https://www.tus.ac.jp/fac_grad/fac/riko/app_bio.html)。
さらに医理工連携コース・農理工連携コースというものがあり,学科を超えた研究・学生・教員の交流があります。通常ではあまり聞くことがないような全く異なる研究領域のお話が聞けるのでとても刺激的で勉強になります。
研究室のボスは鎌倉高志先生で,本研究室では主にイネの病原菌糸状菌であるイネいもち病菌を対象とした研究を行っています。
具体的には,いもち病菌が感染する際に形成する付着器の細胞分化メカニズムの解析や付着器形成を指標とした薬剤ターゲットの探索,交配関連遺伝子の解析,不稔化因子の探索,核数制御メカニズムの解析などが現在テーマとして走っています。最近では,他の植物病原糸状菌や担子菌の研究にも着手し始めていて,乳酸菌の研究も行っていたりします。
写真は大掃除とワックスがけが終わった直後の一年で最も綺麗だと思われる研究室の様子です。
私自身も研究活動の原点はいもち病菌の研究で,委員メンバーには少ないですが,植物病理学をバックグラウンドとして持っています。広報担当の浦山さんとは植物病理学会で出会い,それ以来,可愛がりを受け続けています。
当初は「どのようにして病原菌 (ゲノム) が進化していくのか」に興味を持ち,研究を進めていくうちに「進化のプロセスを再現・加速させたい」という欲求が生まれました。幸運にもZFNやTALENなどの人工ヌクレアーゼの開発が進み,合成生物学という分野も新たに発展しつつあるタイミングでした。ほどなくしてCRISPR/Cas9が開発された時の衝撃は今でも鮮明に覚えています。
これらの経緯から,ドクター後期からポスドク時代はゲノム編集技術の研究にシフトし,糸状菌だけでなく,動物細胞や植物,バクテリアなど様々な生物を取り扱う機会・経験を得ました。これまでの自分にない視点や考えを提供して下さるかけがえのない恩師にも巡り会えました。
現在は絶賛迷走中で,研究者としての思想の自由と本質的に重要で面白いものを見極めて探求し続けていく感性を身につけるにはどうしたら良いかを自問自答する日々です。
これまでの経験から (たいしてありませんが),研究成果のみならず自分の力と可能性を伸ばしてもらえる環境や人的ネットワーク,生きた情報が如何に大切かを身をもって学びました。今後の若手の会の一連の活動がそういった貴重なネットワークや情報,環境を提供できるような素晴らしい会になることを願いつつ,微力ながら貢献できるよう頑張りたいと本文章を書きながら思いを新たにしています。
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