千葉大学真菌医学研究センター 微生物資源分野 微生物創生プロジェクトの楠屋です。
新型コロナウィルスにインフルエンザ、いろいろ流行っていますが、皆さん、お元気でしょうか?
私は今のところ健康に問題なく、働くことができています。
私の所属する千葉大学真菌医学研究センターは、その名の示すとおり、人に感染して真菌症を引き起こす真菌の研究を行う研究室が集まっています。センターのホームページ(http://www.pf.chiba-u.ac.jp/index.html)のセンターについてでは、「我が国唯一の真菌医学総合研究拠点として、基盤研究、臨床研究、共同研究、人材育成を主たる目的として活動しています」と書かれています。ですが、真菌以外にもウィルスや腸内細菌など、真菌以外の感染症、RNA感染治療分野を研究している研究室もあります。
センターには、数多くの病原真菌と放線菌の菌株を管理保管している矢口先生率いるバイオリソース管理室が存在します。バイオリソースには様々な場所(お風呂場、エアコン内部またはその風、屋上の空気、山の土壌、etc.....。)や感染した動物、人から採取された株が全国から集まり保管されています。臨床感染症分野の亀井先生や渡邉先生は、同じ敷地内にある千葉大学医学部付属病院の真菌症外来で診療をされていて、患者さんからの臨床分離株の大部分がここから来ています。私の上司、高橋さん率いる微生物創生プロジェクトでは、この臨床分離株を使うことが多く、そのような株の情報と入手が素早く行えるのはセンターに所属している強みだなと思います。
私が今の研究室に来た経緯ですが、奈良先端大の学生の時に指導していただいた先生が高橋さんと親しく、高橋さんが奈良先端大から千葉大学に移ったばかりの時で、「今、募集しているらしいよ。頼んだら?」という一声で、2013年1月、この地に流れつきました。
高橋さんは基本的にピペットやフラスコを使った実験はされません。専門は生命情報科学(バイオインフォマティクス)で、コンピューター解析を用いて生物で起こる現象に対し数理モデルを構築することで、生命現象の解明を目指しています。一方の私は、奈良先端大ではグラム陽性菌の枯草菌を実験対象として遺伝子の機能解析を行なっており、バイオインフォマティクスに関する授業も受けたことはあったのですが、研究で使用することもなく身についていませんでした。
そんな私が、まずMiSeq(Illumina)を使ってアスペルギルス属のfumigatus, niger, flavusの RNA-seqのデータを取ることを頼まれ、枯草菌から真核生物のアスペルギルスになったということで高橋さんが色々と説明してくれたのですが、
「ゲノムのサイズは、大体30メガ、4メガの枯草菌の10倍くらい大きい」
ん?!メガ?ゲノムのサイズってメガ?枯草菌:約4,000,000 bp = 4メガ!!
「MiSeqの1ランのデータ量が…ギガで、…cycleのキットを使って、ゲノムのサイズが…メガで、1サンプルに付きリード数…が欲しいから、1ランは6サンプルで」
分かりました(今回の1ランのサンプル数が6だということは)。
完全に道を見失った迷子でした...
実験の方も培養がコケてコケて、ゲノムDNA抽出になるとスメアになることが多かったり、形質転換に入るとプロトプラスト??相同領域は<1kb必要?!等々、次から次へと壁にぶちあたり、就職先を間違えたと日々感じていました。
まさかダメダメな私が8年目に突入した上に、若手の会にまで入れてもらえるとは、何が起こるか分からないですね。それもこれも、前回の浦山さんのボスである当時はセンターに在籍していた萩原さん、酒井さん(現:神戸大)、感染研の梅山さん等の皆様に相談にのっていただき、教えてもらうことができたからだと思います(現在進行形でお世話になっています)。
この間、実験で困ったことを相談できるような...という話が少し出たと思うのですが、そういう場があると大変助かります。逆に私が役に立てることがあるか考えると、こちらに来た当初から行っている次世代シーケンサーのサンプル調整くらいしか思いつかないのですが、需要ありますでしょうか?主に糸状菌ですが、時々それ以外の菌体からも次世代シーケンサー用のRNA、ゲノムDNAの抽出をすることが多いので、うまく抽出ができないということがあれば、何か言えることがあるかもしれません。Illumina、Nanoporeシーケンサー用のライブラリーの作成とMiSeqとMinION(Nanopore)の操作。あとは私だけでは決められませんが、現在、シーケンスは外注していて、HiSeq Xの1レーンに1回のランで数十サンプルをかけているので、次世代シーケンサで読んでみたいけれどサンプル数が少ない時に、こちらのランと都合が合えば、一緒にかけることが可能です。
次世代シーケンサーを使うことを考えている方がおられましたら、いつでも遠慮なくご相談ください。ただ、シーケンス後の解析に関してはポンコツです。データの解析こそ大事で大変な作業なので、結局のところ私のお役立ち度は低いです、申し訳ありません。ですが、もしかしたら解決できることもあるかもしれないので、次世代シーケンサーで、聞きたいことができた時は何でも言ってみてください!!
では、最後に真菌センターの共同機器のMiSeqと研究室のMinION(MiSeq白い部分の上)の写真を載せます。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
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