時代を繋げる(北大・堀)


初めまして。北大の堀です。去年から委員をさせて頂いております。


11月の糸状菌から1ヶ月ほど経ちましたが、札幌は雪が降ったり溶けたりを繰り返し、例年よりも暖かいです。私が札幌にきて4回目の冬ですが、毎年「今年は暖かい」「例年はもっと寒い」と言われ続けています。北海道においても温暖化が始まっているのでしょうか。


この機会に検証しようかと、温暖化の具体的な数値を調べました。ふっと思い出したのは、共同研究者のUC-Davisの渥美先生に教えて頂いたwebsiteでした。NoAA's Climate Chage Web Portal(https://www.esrl.noaa.gov/psd/ipcc/ocn/)です。ここで世界の過去と現在と未来の気温が見れます。やっぱり温暖化しています。1956-2005年と比較して、2006-2055年(予測を含む)では北海道は1.6度上昇しています。100年後には、4度気温が上昇しそうです。また、寒い所ほど温暖化が顕著な傾向があるようです。


そんな暖かくなった札幌でも既に山に行けばスキーができます。パウダースノーで綺麗な景色も楽しめます。去年から始めたばかりのスキーで上手では全くないのですが、家族で熱心に通っております。まだ小さい息子も感化されてスキーが大好きになり嬉しい限りです。温暖化が加速する中、このような素晴らしい景色をいつまで見ていられるのでしょうか。私が生きている間は大丈夫でしょうけれども、次の世代のことを思うと心配になります。


私は2016年から北海道大学工学研究院応用化学部門で助教をしています。工学部で糸状菌(かび・きのこ)の研究を行っているのですか?と驚かれることも多いのですが、応用化学部門は時世を反映して、石油化学からバイオマスを原料とした化学や環境に優しい化学に取り組んでいる先生が多くいらっしゃいます。というわけで、私も森林利活用を目指して、糸状菌がどのようにバイオマスの分解・変換をしているのかの分子メカニズムについて日々研究をしています。"自然に学び、社会に活かす"をキャッチフレーズに、多種多様な糸状菌の分解メカニズムの違いやメタ環境vs試験管内での分解、植物との関わりなどについてオミクスベースで研究しています。


私の出自は農学部で、東大のセルラーゼの研究室で科学の基礎を学びました。鮫島正浩先生と五十嵐圭日子先生には大変お世話になりまして学位を取得しました。糸状菌研究会でも講演者としていらしたForest Products Laboratory/ UW-MadisonのDan Cullen先生にゲノム解析などを学びました。その後、理研(現奈良先端大)出村拓先生の元で植物細胞壁研究について学びました。結婚を機に北大の顕微鏡の研究室(佐野雄三先生)へと移りまして、現在のラボでは田口精一先生(現東京農業大学)と松本謙一郎先生の元で微生物産生ポリマーの勉強をしつつ、学生指導にも力を注いでいます。(と言いながら、学生に支えてもらうタイプだと感じています。)


このように経歴を書くと、もうなんなんだかわからないようにも見えますが、バイオマス利用という背景と、生物や化学の解析手法は共通することも多いので、一貫した研究方針を中心に、知見が広がることや新しいことに挑戦すること、文化の違い、などを楽しみながら柔軟な姿勢で取り組んでおります。また、この間に学振や科研費にサポート頂けたことで自分のライフイベントと擦り合わせながら、キャリアを積めているように思います。このような経歴になることは学生・ポスドク時代は予想不可能だった部分が大きく、不安な時期もありましたが、いつも最終的な目標を見失わないようにしていました。(実際は見失いがちなので、定期的に思い出していました)


大学や研究費のシステムが大きく変わりつつあるなかで、過渡期を生き抜き、研究者としてやっていかなくてはならない現状が若手にはあります。それをどうにかしようと考え実行されている方々はいるんだなと最近感じています。特に今年から始まったJST ACT-Xは、JSTの方々やアドバイザーの先生が"生命と化学"という大枠で、若手育成に拘って作って下さったものだと聞いています。こういう時に自分は何をしたい、相手はなにしてくれるんだろうか、など瞬間的なことだけ考えてしまいがちなのですが(いっぱいいっぱいで余裕がないのは私だけでしょうか。。汗)、次に繋げる時に、より良い形になるように考えていかなくてはいけないなと、第1期生として選ばれた感謝とともに責任も感じている次第であります。


言いたいことを脈絡もなく綴りましたが、今現在こんな感じで研究、教育、プライベートを両立する日々を過ごしています。

玉野先生同様に北海道の衣食住環境にとても満足しております。ぜひ私も先生と一緒に担子菌研究熱く盛り上げていきたいです!今回一緒に実行委員をしてくれた京大中沢先生(onちゃん大好き)も担子菌研究の中心にいるのでお互いに頑張りましょう!ブログの筆者は北からということでしたが、次回はもう関東圏の先生方に託されます。

これからも宜しくお願いいたします!!



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