東京大学の二宮です

2024年に運営委員を仰せつかりました、東京大学大学院農学生命科学研究科助教の二宮です。若手の会ブログの記事を書くのは初めてなので、まずはマジメに自己紹介します。

私は幼い頃から魚や海が好きで、それが高じて学部は本学農学部の水圏生命科学専修(旧水産学科と言えばわかりやすいでしょうか)というところに進みました。高校生の頃から、将来は魚の研究をとなんとなく考えていた私でしたが、農学部で北本勝ひこ先生をはじめとした微生物学の先生方の講義を受け、段々と微生物の世界に心惹かれていきました。その後の研究室配属で、私は松永茂樹先生が主宰する「水圏天然物化学研究室」という部屋を志望しました。この研究室は海洋生物から有用物質を探すという研究をしている部屋です。「宝探し」の研究に大きい夢を感じたのが研究室を選んだ主な理由のひとつでした。研究テーマはいくつか提示された中で迷わず微生物関係のものを選び、「放線菌が作る二次代謝産物」がその後博士課程までの研究テーマとなりました。その後二次代謝産物の化学構造や生合成について解析を進めるうち、「微生物は何のためにこんな化合物を作っているのか」という疑問が次第に大きくなっていきました。そのヒントは微生物同士の相互作用の中にあるのでは、と考え、博士取得後は筑波大学の萩原大祐先生が主宰する研究室「糸状菌相互応答講座」でポスドクとして働くことを志望しました。これが私と糸状菌との出会いで、ポスドクを始めたその年に糸状菌分子生物学研究会に入会し、若手の会にもそれ以来お世話になっています。この研究室では萩原先生と浦山俊一先生のもとで、糸状菌と他の生物(真菌、細菌、ウイルス)との相互作用に関する研究を行いました。学生時代とは、研究の背景も哲学も異なる先生のもとで「相互作用」しながら研究を進めるという経験は刺激的で良い経験になりました。その後、出身研究室に助教として戻り、現在に至るのですが、糸状菌の相互作用研究を続けています。相互作用を介して目覚める糸状菌の能力が、何か人類の役に立てばと考えて、「宝探し」をする日々です。最近のコンファレンスでは、鰹節の発酵に関わる糸状菌、「鰹節カビ」に感染するウイルスについて発表しています。

おっと、自己紹介を軽くするつもりが、自分語りになってしまいました。微生物に興味がある、あるいは研究の世界が気になるという若い方々にとって、何か少しでも参考になればと願います。

私自身、学生として若手の会に所属したことはないのですが、若手が横の繋がりを作りやすい、とても素敵な会だと感じています。若手の会が引き続きイキイキとした会であり続けられるよう、お力添えできればと思います。どうぞよろしくお願いします。

写真は東大農学部の観光スポットのひとつ、「上野先生とハチ公の像」前で撮影しました。

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