ワークショップ開催裏話(50名前後のワークショップを沖縄で開催する方法)

皆様、こんにちは。
東北大学農学研究科の渡嘉敷直杏です。
2024年の糸状菌分子生物学研究会の若手の会ワークショップは沖縄で開催されました。


今回は沖縄で開催されるにあたって若手の会(1泊前後の寝食を含むセミナー)の準備がどのような段取りで行われたか紹介します。このポストは糸状菌分子生物学と全く関係ありませんが、沖縄で小規模の研究会などを開催したいあらゆる後続の世話人にとって役立つものだと思います。もちろん、糸状菌分子生物学研究会の次の次の次......の開催地が再び沖縄になった際にも参考になると思います。もし、糸状菌分子生物学研究会(糸状菌コンファレンス)についてご存じで無い場合でも読み進められる内容になっています。

2024年開催の若手の会ワークショップの様子はどうなのかについては宮澤さんのブログポストを是非ご覧ください。


・世話人の招集

開催地の事情を知る人がいた方が絶対良いに決まっています。書き始めに「東北大学」と書きましたが私の出身は沖縄です。2023年の糸状菌コンファレンスの際にお声かけをうけ、今に至ります。つまりワークショップ開催準備のスタートタイミングは2023年の11月になります。


・開催地の選定

2023年12月13日に世話人間で最初のミーティングを行いました。この時点で分かっていることは「2024年11月2-3日の開催(若手の会)」「研究会本会のスケジュールは例年より早め」の2点でした。若手の会は例年参加者が50人前後でしたので、この人数を受け入れられる施設を那覇市近郊(中南部)を中心に探し、全てに対して空き状況の照会を依頼しました。しかしながらどこも既に団体予約などが入っており若手の会では予約すらできない状況が続きました。これには理由があり、11月第一週の日曜日に尚巴志マラソン(ハーフマラソン)が開催されるにあたって宿が早いうちから確保されているという背景がありました。大きなイベントでは1年以上前から日程が決まっている(=会場が確保されている)事が多いので開催場所は早めに決める事を強くオススメします。

ネイチャーみらい館はコテージかつ和室であること(他の利用者との間に緩衝スペースがあること)、ある程度のキャパシティのある会議室(食堂)があること、空き状況があったことが若手の会で利用した理由になります。

検討した開催地

・ゆいんちホテル(大浴場あり, マラソン大会により断念)

・沖縄県青年会館(最大26人)

・沖縄ホテル

・沖縄船員会館(どなたでも利用可能)

・沖縄ユースホステル(空港からのアクセス良好)

・青年の家など(飲酒が禁じられている場合があります)


・移動手段(バス)

那覇空港から那覇市内、浦添まではモノレールで移動する事ができます。沖縄県内を移動するその他の公共交通機関として路線バスがありますが、初心者には非常に分かりにくい系統となっています。今回の開催地であるネイチャーみらい館は金武町という町にありますが、路線バスを駆使しても空港から約2.5時間程度かかるようでしたので若手の会でバスを1台手配する事にしました。12社ほど連絡し、今回のバス会社に決まりましたが、連絡したほとんどのバス会社において既に修学旅行などの他団体の先約がありました。バスの選定は2023年12月15日ごろに完了していたのでこちらも1年くらい前の連絡と決定になります。

バスの利用料金は次の経路分から料金が決まります。

【バス車庫】→回送→【乗車場所】→(有料道路代など)→【降車場所】→回送→【車庫】

回送料金、有料道路代に加えて所要時間や距離に応じた基本的な料金の合計がバスの利用料となります。このため、基本的にはバス会社と出発地、目的地が近い方が回送料金を抑えることが出来るためよりお得になると思います。

また、糸状菌分子生物学研究会の若手の会としては支援を受けておりませんがバスに関して一般財団法人沖縄観光コンベンションビューローより開催規模に応じた貸切バスへの支援事業があります。支援は多岐に渡り、お出迎えサービスから瓦割り体験ブース(!?)まで支援して下さるそうです。それぞれ条件・申込期日が異なりますので条件に合致する主催者は早めのエントリーをオススメします。

Tips:(メールで連絡しても返事が無いことが多いので)必ず電話で再確認しましょう

空港ビルとモノレールの駅との間(2つの立体駐車場の間)にバスプール(緑色の車体のバスが見えているところ)があります。手前の島がレンタカーやリムジンバスの送迎を行う場所になっています。大型バスの乗り降りはバスプールで行うことになります。


・集合時間(若手の会スタートの時間)

どの時間にスタートすれば最大人数が参加できるのか空港到着時刻を参考にしました。想定される参加者うち65%程度が利用可能だと思われる関東、関西、中部、福岡の各空港を利用できる場合、午前中到着便に複数の選択肢がありました。一方で中国地方、四国、仙台以北においては当日午前中に到着する事が難しいようでした。

これらに基づいて、鹿児島から午前中に到着するソラシド便の到着(10:55頃)を待ってからバスを発車する日程であれば、多くの方が前泊を必要としない旅程で参加できるだろうと結論づけ、バスの出発場所は空港としました。また、少し遅れて参加される方を想定して高速バス併用の救済なども想定していました。

申込が終わった後に判明したのですが、90%近くの方が前泊、前々泊されていました。集合時間と集合場所については再考の余地があったのかもしれません。


・昼食(いなりとチキン)

金武で有名な食事はタコライスです。タコライスは全国的に有名になったのではないでしょうか。通常、若手の会では昼食を用意する事はありませんが、今回は会のタイトなスケジュールを考慮して昼食を用意しました。好き嫌いやアレルギーなど考慮すべき点からシンプルな丸一食品の「いなりとチキン」にしました。「沖縄まで来たのにいなり寿司ですか...?」と思うかも知れませんが、食べた皆さんいかがだったでしょうか?

・夕食(バーベキュー)

お肉は牛庵という食肉卸から調達しています。沖縄県民であればイオンなどで見かけたことがあるかと思います。いわゆるちょっぴりグレードの高いお肉です。牛庵は糸満を拠点とするお店ですが、イオンモール沖縄ライカムの中にも拠点があります。バーベキューセットは大変お買い得で、店長と要相談になりますが、特別セットも用意していただけます。これは大人数でバーベキューをする若手の会ではとても役に立ちました(バーベキューコンロの数に合わせて肉を分割梱包してくれる、肉の部位をどうする、品温、金額など)。予約注文したものを11月2日の当日朝(皆さんがバスプールに集合している頃)に受取、会場まで運んでいます。

その他の食材として、おにぎり(じゅーしー)や野菜、沖縄そば(焼きそば用)なども準備しました。

事前に他の学会・研究会に関連する若手の会ではどのような飲食を行っているのか調べてみましたが、豚の丸焼き(金城畜産)やケータリングサービス(バイキングのようなもの)の利用などもありましたがバーベキューをする(しかも夏にする)という若手の会が多い印象でした。


・飲み物やおつまみなど

今回の世話人は北海道、宮城、東京から参加する為、誰一人として事前にお店を見て買い物にするということが出来ません。そのような理由からある程度どこで何を買うか、事前に目星を付けておいて直前に一気に必要なものを購入しました。前日の買い出しではカインズ、ビッグワン、ダイソー、ザ・ビック(イオン)、みつわ産業などで主に飲み物、容器などを購入しました。ビックワンというお店は沖縄に点在するローカルなドンキホーテのようなお店です。色々買い回りしましたが、おつまみや飲料はビックワンが一番お得でした。

また、11月といえども沖縄は暖かく、日中は少し暑く感じる程度には夏を感じます。飲み物や食品の保冷には氷があったほうが良いかもしれません。市中の製氷所の中には「くず氷」を安価に販売してくれる店があります。今回は沖縄市にあるトゥワァイ(氷屋さんです!)を利用しました。

おつまみの一部は私の住む仙台のカネタ工場併設直売所で購入したものを持参しています。不揃いなどで訳ありのおつまみがお買い得です。この直売所の中では牛タンを食べる事もできます(代表の宮澤さんもうまいと仰っておりました)。

・領収書と参加費振込

ワークショップ参加者が50人、1人平均10,000円の参加費とするとお金を預かる世話人が50万円の現金と寝食共に一晩過ごす必要があります。これはとてもリスキーで現実的ではありません。なので今年から参加費を事前に振り込んでもらう事にしました(コンファレンスの本会でもそうでしたね)。金銭授受が発生しなくなったので迅速な受付も可能になりました。事前振込に協力いただいた全ての方にこの場をかりて感謝申し上げます。(振込対応は若手の会としては初の試みで、このことが参加の障壁とならないよう、今年は例年通り現金での当日受付も可能でした。)

また、今回の参加証は領収書と一体型で準備しました。サイズも折りたたんでネームホルダーに入るサイズにしています。ネームホルダーは本会と共通にすることで紛失しにくく、かつコストカット出来るという思惑がありました。ただし、持参したネームホルダーの枚数が足りずにご迷惑をおかけする場面がありました。申し訳ありませんでした。


おわりに

準備期間中は「若手の会、何をするか?」という事をよく考えていました。講演では図らずも黄麹菌、白麹菌、紅麹菌の漢字で書くと色違いのカビの話を聞くことができ、また黄麹菌の形質転換系の先駆者である五味先生からは現在の研究を始める前に行っていた仕事の話なども聞けてとても面白い講演として聞くことが出来ました。それと同時に、夕食や歓談時間のおしゃべりも面白い事が多かったように思います(あの酵素の製造がまさかボトル詰めまで担当が一人だとは...)。

次回の私の更新では「研究室の紹介(自己紹介)」「スライド(図)」「wikiのススメ」から何か一つお届けできればと思っています。






買い出しの途中で食べたみどり屋食堂の「煮付け」。「ちゃんぽん(こちらも想像するちゃんぽんと異なると思います)」も人気のメニューでどちらにするか飛行機に乗る前から悩んでいました。お店は琉球大学の近くにあります。用事がある際はぜひ一度お試しください。


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