こんにちは。産業技術総合研究所の玉野です。
二回目のブログ執筆となり、前回は自己紹介を書きましたので、今回は私がFrontiers in Fungal Biology誌で企画している特集(Research Topic)について書かせていただきます。
Frontiers in Fungal Biology誌(以降FFB誌と略)は昨年2020年に創刊されたオープンアクセスの国際研究誌です。
<HP>https://www.frontiersin.org/journals/fungal-biology
スイスのローザンヌに本社があるFrontiers社から、電子版のみで出版されております。私はこのFFB誌のFungal Physiology and Metabolismのセクションにおいて、Associate Editor(以降AEと略)として、論文の審査を担当させていただいております。
昨年このAEへの就任のお話があり、FFB誌の事務局とWebで打合せを行いました。その際Research Topicの企画・運営に興味はあるかと尋ねられました。先に創刊されたFrontiers in Microbiology誌でもAEを、そちらは2013年から担当しているため、Research Topicの存在は知っておりました。ただ日常的に用務が多くて十分に対応できなく思い興味はあるが企画してこなかったことを伝えたところ、事務局もできるだけサポートするので是非と強く要望され、今回企画に至った次第です。
Research Topicの企画にあたり、先ずはどのような内容をFeatureするか決める必要がありました。結局は、私自身がこれまでに研究課題として取り組んできたものとしました。すなわち、糸状菌で有用な代謝産物(一次・二次)の生産性を代謝改変で向上させる内容です。Research Topic名は“The use of metabolic engineering techniques to increase the productivity of primary and secondary metabolites within filamentous fungi”です。しかしそれですぐに投稿を受け付けられる訳でなく、運営を一緒に担当するEditorを増やして、三名以上のEditorの体制で行うよう事務局から指示されました。そこで米国農務省USDAのDaren Brown博士と京都大学農学研究科の吉見 啓先生にGuest AEとして参加いただき、ようやく投稿受付開始となりました。吉見先生とは以前に、経済産業省のプロジェクトで微生物の物質生産向上の研究を一緒に実施したご縁で相談させていただきました。引き受けていただき感謝しております。
ちなみにイラストの表示も事務局から推奨されましたので、内容に近そうなものをフリーのイラスト素材集から選抜して、下記にしました。DNA二重らせんと代謝産物のイメージです。糸状菌を連想させるのもあれば良かったですが、そのようなものが見つからず。とりあえずこのイラストを目印にHPから探していただければ当Research Topicにたどり着けます。(あるいは直リンクをこのブログの最後に付けましたので、むしろそちらからが最も速いです。)
現在、Research Topicへの投稿論文を募集中です。“代謝産物”・“物質生産”の内容ですので、それに合致する研究をされている人はかなり限定されるかもしれません。またオープンアクセス誌のため論文出版費が高額(大体20~25万円)で、しかも現時点ではインパクトファクター(IF)も付いていないため、条件的には厳しい感じがあります。それでも、もし本Research Topicに投稿を考えてみようかという人が居られましたら、大変幸いです。
論文形式は、原著論文(Regular article)以外に総説(Review)やそれ以外(Opinion, Perspective, 他)と各種可能です。いずれかで発表できそうな内容がありましたら、積極的に投稿いただけると嬉しいです。もし本件で質問等ございましたら、私のメールアドレス(tamano-k”a”aist.go.jp、”a”は@)に直接問い合わせていただければ、出来るだけ返答いたします。
FFB誌は創刊されたばかりでIFは未だありませんが、Frontiersの事務局から送られてきた資料によれば、今後IFが付く予定で関係機関に登録を進めているとのことです。現時点ではPubMedでもFFB誌への発表論文は検索されませんが、こちらもIFよりも先行してPubMedで検索されるように進める予定であるそうです。
私は前述のようにFront. Microbiol.誌のAEも2013年から担当させていただいておりますが、FFB誌の現在の状況は、Front. Microbiol.誌の創刊後の状況とイメージが重なります。Front. Microbiol.誌も創刊後数年間は当然IFが付いておらず、PubMedでも検索不可でした。しかしその後IFが付いてPubMedでも検索可能となり、特にIFにおいては最近Clarivate社から発表された2020年の値が5.64と、国際的に高く評価されるジャーナルにまで成長しました。FFB誌も同様に優れたジャーナルに成長することをAEとしては願うばかりで、今回当ブログで書かせていただきました。
以上、宣伝となり恐縮ですが、FFB誌の本Research Topicに関心をお持ちの方からのご連絡および論文の投稿を、心よりお待ちしております。
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